生翠 seisui - 舟醒 shusei’s diary

書画のあれこれエトセトラ

新しい「現代墨」

皆様こんにちは。

冬至も過ぎて、これから日が徐々に長くなりますね。
寒さはいよいよ厳しくなってまいりますが、墨作りは最盛期を迎えます。
墨は煤と膠を練って型を取って作っていきます。
冬の乾燥が墨を干すには最適で、墨の良し悪しも乾燥である程度決まります。
煤、膠、混ぜた後の練る行程でいかに空気を抜くか等の、技術も勿論あります。
原料である煤は現代に入っては、殆どがカーボンブラックになりました。
膠も良質の天然膠は、それなりのお値段がつく墨に使われています。

墨の産地は奈良、鈴鹿で日本製の墨は、どちらかの墨になります。
日本製の墨を「和墨」と言い、鈴鹿墨さんは和墨の新たな可能性を模索する、若手職人さんの活躍が頼もしい産地です。
今までに私が使った墨は、“藍墨”と今年出来たてのラメ墨「輝(かがやき)」です。
伝統鈴鹿墨を作っている進誠堂さんの新作墨、ラメ墨を使って書画に挑戦してみました。
どんな墨でもラメ墨を混ぜて使います。
硬めの墨なので唐硯の方が良い、とのことで羅紋硯で墨液を作り描いてみました。

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紙は楮紙で、墨液の量の加減が分からずラメ墨が少なかったようですが、雰囲気は出せたかな…という感じになりました。
濃墨でラメ墨を使うとかなりの量を磨らないと、特徴を活かしきれないようで、まだまだ研究中です。

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絵筆で書いてしまいましたが、ラメが弱くなってしまいました。
今年の新作墨として鈴鹿墨さんが新しく開発されたラメ墨ですが、昨今では色墨も沢山出てくるようになりました。
水墨画や墨彩画用の墨で、顔彩で作った墨です。
鈴鹿墨さんでは、墨も混ぜて墨彩画用の彩墨を出しています。
書画人口が減ったとはいえ、墨も硯も職人さん達は頑張っています。
私達書画家も広く、後世に伝えて行かねばと志を新たにする日々です。

※初下しは雨畑硯で磨ってしまいました。ラメ墨はこんな色なのに、墨と混ぜると青くラメが出てきて面白いです。

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